「管理職教育・育成のエキスパート」

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 テーマ29 仕事に対する考え方や価値観を部下に対しきちんと教育する

■部下は、仕事に対する自己流の考え方や価値観を
 手のひらの中に握っている

管理職研修の中で、管理職者の方から自分の部下の中に、
「言われたことはするが、自分から進んで仕事をしようとしない」、
「自分から進んで新しい仕事や勉強をしようとしない」
このような部下がいるとのご相談を受けることがあります。

入社して間もない部下から、勤続10年以上のベテラン社員の中にも
そういう部下がいるとのことです。

こういう部下の人達に話を聴きますと、仕事に対して下記のような
自分なりの考え方や価値観を持っている場合があります。

・仕事は上司が部下に対して指示をするもので、部下である自分は、
 指示された仕事だけを行えばよい。

・新しい仕事は、上司が考えるもので、新しい仕事をするときは、
 上司から部下に事前に説明があり、部下が納得の上で、
 新しい仕事の教育を上司からきちんと受け、
 それから新しい仕事に着手するもの。

上記のような考え方をする部下の人達は、企業のマネジメントに
関して何も勉強していないかというと、決してそうではなく、
企業のマネジメントに関する本を何冊も読んでいる場合もあります。

上司の方は、自分と部下の間に、根本的な考え方の
ギャップがあるのに気付かず、「部下に対して間違ったことを
言ってはいないのに自分の想いが伝わらない、
部下のモチベーションがあがらない」と日々悩んでいる状況です。

■部下の手のひらを広げて、自己流の考え方を捨ててもらい、
 仕事に対する本来の正しい考え方や価値観を
 部下の手のひらの上にのせ、握ってもらう

仕事に対する考え方や価値観という視点で部下と話をすると、
部下の方が仕事に対して勘違い、思い違いをしていることは、
すぐ分かります。

仕事に対して勘違いをしている部下の方に対しては、
部下の方の間違った自己流の考え方を正す必要があります。

上司として、部下に対して、仕事に対する考え方や価値観
として話すべき内容は、下記のような内容となります。

下記のような内容を、きちんと部下に対して伝えることが
できる力量が管理職者の方には求められます。

・会社は今がベストの状況。社長や管理職者、
 社員も現在最大限の知恵を出し、最大限の仕事をしている。
 このため、社員一人ひとりの成長、社員一人ひとりが行う
 新しい取り組みが会社を成長させる。

・会社の存在理由、使命はお客様をつくること。
 無から有をつくるのが会社の仕事。
 このための仕事の基本のあり方というのは、
 仕事は社員一人ひとりが考えて自らつくるもの、
 小さな改善の積み重ねがお客様をつくり、売上をつくる。

・仕事を通して、企業人として、社会人として、人は成長していく。

・仕事は、常に挑戦するもの。

■部下を指導育成する際には、まず部下が持っている
 仕事に対する考え方や価値観を確認する

部下の方が持つ、仕事に対する考え方や価値観が
基本的に間違ったものであると、上司の方が、
一生懸命動機づけを行い、部下の方に、
自ら仕事の計画を立て自ら行動してもらおうと思っても、
部下は上司の意図を理解できないため、
部下の方の言動は、なかなか変化しません。

このような部下の状況を見て上司の方は、
「自分の部下はやる気がない」、「言われたことしかしない」
という評価になってしまいます。

また、モチベーションが上がらない部下の動機づけを行うために、
面談指導を何度も繰り返したり、評価制度を変更したり、
部下のためと思い仕事を無理強いさせたりと
部下のモチベーションを一層低下させる結果
になっている場合もよく見受けられます。

部下の指導育成にあたっては、まず部下の方の仕事
に対する考え方・価値観を確認することが重要となります。